「見る」ということを考えてみましょう。 私たちが見ることができるのは光があるからなんですね。 光が物にあたって反射したものが眼球を通して網膜に映り、視神経がはたらいて物として認識することができます。 そして色が見えるのは、それぞれの光の波長の長さによるものです。 私たちが見えるのは「可視光」と呼ばれる波長だけです。 他にも紫外線、赤外線、X線、マイクロ波などがありますが、どれも目で見ることはできません。 でも確実に存在しています。 よく「見えないものは信じません」とおっしゃる人がいます。 幽霊とか宇宙人とかは見えなければ信じなくてもいいでしょう。 でも、この世界は見えないものの方が本当は多いのだということを、頭の片隅においておいたほうがいいですね。 見えないものを頑なに否定するのではなくて、見えるものを大切にしてみるのはどうでしょうか? 私たちは目から入る情報にいろいろと意味をつけて分析したりする反面、実はちゃんと見ていないことも多いと思うのです。 どこまで見えているか? たとえば、誰かと会って1時間おしゃべりをしました。 別れてすぐその人がどんな色の服を着ていたか言えるでしょうか? たとえばその人の表情はどうだったでしょうか? 元気そうだったのか、いつもと同じように感じたのか、どこかちがうところがあったのか。 いろいろと思い出してみると、ちゃんと人の目を見て話していなかったり、 自分のことばかりしゃべっていたりする場合もあるのではないでしょうか。 お勧めしたいのは、目を開けるとともに心も開けるという方法です。 もし、あなたの目が見えなかったとしたらどうやって外の世界のことを知りますか? 他の感覚、聴覚や触覚で知ろうとするかもしれませんね。 更に、耳も聞こえなかったらどうしますか? 目を閉じて、静かなところで、座っています。 それでも何かが反応する感じ。 そのときの感覚です。 その感覚を目でものを見る時に一緒に使います。 そうすると、たとえば普段はなんとも思わない街路樹であったり、道ばたに咲いている小さな花であっても、 そこに生命力を感じたり、優しさや美しさを感じたりするかもしれません。 人の笑顔の中に、その人の深い気持ちが感じられるかもしれません。 心の目も一緒に使っていただくと本当のことが見えてくるかもしれません。 pre | next |